赤城落ち異聞

忠治さんの赤城落ちを題材にした歌では、矢島寵児さんの「名月赤城山」と野本高平さんの「赤城山」が
ありますが、どちらも同じ題材を扱いながら詞の趣は全く違っています。

「名月・・」の方はお芝居でも見ているような客観性を持った抒情的な詞になっていると感じますが、
「赤城山」の方は忠治の心情を自らに語らせる口説き歌になっていると思います。これによって、「赤
城山」は聴く者にとっては、よりリアルで直接的に訴えかけてくるものがあります。
もちろん、これは亜矢姫の為に創作された歌であり、亜矢姫以外の方が唄う姿は到底想像できない程
に完成されたものになっているので、聴くものも自然に人間らしい忠治さんの世界に入り込んでし
まいます。

高橋敏さん著の図書には、「国定忠治」「国定忠治の時代」があります。両方とも学問的に考証されてい
てとても読み応えがありますが、この「忠治の時代」の本の表紙カバー見開きにこんな一文がありまし
たので、引用してみます。

・・・忠治と読み書きといえば、思い起こされるのは、菊池寛の「入れ札」(1921年『中央公論』)で
ある。フィクションとはいえ、往時の文化社会の実態を生き生きとと描写している。岩鼻代官を斬っ
て(これは虚構)上州に居れなくなり、大戸の関所を破って信州へ逃げる忠治と子分11人の大所帯の
一行。
お尋ね者の忠治でございと街道を闊歩でもすれば捕り手の思う壷。逃げ了せるためには、子分を減ら
し目だたないようにしなければならない。忠治は悩む。
八州の追及から生死を賭けてともに闘ってきた可愛い子分を選別しなければならない。そこで、思い
ついたのは「入れ札」であった。子分11人は、誰が忠治の友をしていくのが最もふさわしいかを、入れ
札(投票)しなければならないのである。半紙一片に矢立を次々に廻しながら仲間一人を選んで書き
込む。驚くことに無筆はたった一人、他は仮名が多いとしても、名前をしっかり書いているのである
。・・・

著者の高橋さんは、上記の本のなかで当時の手習い塾について詳しく書いておられるのですが、ご自
身の研究とこの菊池寛の小説が一脈通じるものがあると合点されたのではないでしょうか。

さて、この短編小説、忠治と子分たちそれぞれの心模様が描かれていて、人間の思いの致すところは
今も昔も変わらないと感じさせます。全ては優しさと思いやりなのでしょうか・・・・・
これを下記のサイトで読むことが出来ますのでアドレスを貼っておきます。お時間がある折に読んで
頂ければ幸いです。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/files/47858_32247.html

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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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