歌謡浪曲との邂逅

むかし、こんなことを書きました・・・・・。

さて、亜矢さんにとってはとても大事な三波さんとの邂逅もありました。今、コンサートでのエンディング
曲として唄われている歌謡浪曲との出会いです。亜矢さんのレパートリーはとても広いのですが、特徴的な
ものは「名作歌謡劇場物」と「歌謡浪曲物」でしょう、亜矢さんのおじいさんが、“通りいっぺん”の歌手
ではなく、あの娘に合った何か特別なものを創造して欲しいと話されたビデオを前に見ましたが、亜矢さん
は、まさしくその道を歩いて来たし、今後も目指すところは変わらないのだと思います。

思えば、花が咲くのが少し遅かった気がしないでもありませんが、星野先生に頂いた「出世坂」に始まって
「大器晩成」に至るまで、地道に自分の道を築け、慌ててはいけないと示された先生の思いを亜矢さんはそ
の聡明さと素直さで忠実に守ったし、また、懸命に努力もされた。“努力なくして栄光なし”という言葉が
あるけれど、まさしく亜矢さんは目指した道をまっしぐら、お母さんをはじめ、周囲の方々もその思いを一
つにして支えきりました。勝手な想像ですが私にはそう思えます。
顧みれば、やりきれない苦い思いも、幾たびか味わったことがあるのに違いない。しかし、そんな苦労に耐
えて地道に歩み続けて築いた数々の歌の財産は大きな山となり、その山は容易には誰もが近づけない程に、
屹立しています。

「出世坂」にあります、・・・・・曲げるな道を ひとすじの 闘志が結ぶ 出世坂(1番中)
・・・・・・・・涙と登る この坂が 明日へ続く 出世坂(3番中)

話がそれました。三波さんのことです。
本来の浪曲とは、一つの物語を節(ふし)と啖呵(たんか)で演じ、節は歌う部分で物語の状況や登場人物
の心情を歌詞にしており、啖呵は登場人物を演じてセリフを話すもので、演じられる節には様々な調子があ
り、簡単に分けると関東節、関西節、中京節(合いの子節)と地方毎で三つに分けられると説明されていま
す。(浪花節 Wiki)

三波さんの生い立ちについては、三波春夫オフィシャルブログに詳しいのですが、少しだけここから紹介し
ます。
三波さんは1923年(大正12年)新潟県長岡市で誕生、家業は本屋。13歳で上京後、米屋・製麺所に
奉公。その後、築地魚河岸で働くも16歳の時に日本浪曲学校に入学。同年“南篠文若”の芸名で初舞台を
踏む。
20歳で陸軍に入隊し、終戦の後22歳から26歳までロシアのハバロフスク、ナホトカで捕虜として抑留
生活を送る。帰国後に浪曲界に復帰。1957年(昭和32年)三波春夫として歌謡界に転身、デビュー曲
は「チャンチキおけさ」「船方さんよ」で、これが大ヒットとなりました。
三波さんは長岡ご出身、「千の風になって」の新井満さんは新潟市、同県人という繋がりの他に親交もあっ
たそうです。三波さんが最後にレコーディングした曲が、新井満さん作詞・作曲の「富士山」という曲だと
八島さんが書かれています。富士山を謡う歌は歌謡界でもほとんど無いそうですが、亜矢さんには「富士」
があります、何か奇縁を感じます。

今、亜矢さんには、ご存知のとおり五曲のカバー曲があります。
「元禄名槍譜~俵星玄蕃」「赤垣源蔵」「紀伊国屋文左衛門」「決闘高田馬場」「元禄男の友情~立花左近」
これらは全部“北村桃児”さん作詞です。三波さんには全部で三十曲以上の長編歌謡浪曲があるそうですが、
作詞・作曲はほとんど三波さんだと言います。“北村桃児”は、もちろん三波さんのペンネーム、ところが
作曲も、と、聞くと以外に感じるのですが、この経緯が三波さんの長女でいらっしゃる“八島美夕紀”さんが、
その著書「ゆく 空に・・・三波春夫、母、私」に詳しく書いておられますので、引用して紹介します。

長編歌謡浪曲の最初のころの制作手順は
(1)三波さんが妻の三味線で純然たる浪曲として語って録音する
(2)その録音テープが当時の作曲家・長津義司さんの手元に届く
(3)長津さんが節を譜面に起こす
(4)そのメロディーに長津さんがバックミュージックをオーケストレーションする
以上のようなプロセスを踏んで出来上がるのだそうですが、最初は長津さんにとって浪曲を編曲するなど初
めての経験で、出来上がった時の喜びがとても大きかったと、その状況が別な言葉でつづられています。
もう一つのエピソード、「紀伊国屋文左衛門」の曲の中に「かっぽれ」が入っていますが、これは当時の番
組のプロデューサーをされていた川口幹夫さん(元・NHK会長)の提案が取り入れられたそうですから、
これもまた、意外な方が関わって居た訳です。

ところで、亜矢さんは八島さんの会社と三波さんの歌謡浪曲を歌い継ぐ契約をしたとWebの記事を見ました
が、これからも三波さんが残された遺産を掘り起こしては私たちに聞かせてくれるものと思います。
私は、亜矢さんが現在唄っておられる5曲すら生前の三波さんの歌声で聞いた記憶がほとんどありません。
最近、超熱い亜矢ファン様から同じ曲を三波さんと亜矢さんとを交互に聴くという、趣向を凝らしたカセッ
トを頂戴し聴かせていただいておりますが、やはり印象はかなり違います。私自身も昨年「立花左近」をリ
サイタルで聴いてすぐに、三波さんのCDを急遽購入し歌詞を確かめたばかりでしたが、このように交互に
聴くという趣向は凝っています。

4月頃だったと思いますがNHKの90分インタビューで“坂本龍一”さんが、アレンジは“衣装”と話さ
れていました。亜矢さんと三波さんの曲では全部、編曲者が違います。これだけでも聴く者の感じはかなり
違います。
それと、顕著に違うのはセリフの部分、三波さんのは、歌舞伎役者が見得を切るような調子で“大仰”、
亜矢さんのは映画や演劇役者が演じるようで、よりリアル。亜矢さんの唄は真似にあらず独自の境地を開い
ておられます。

“好き好きは人の勝手”で言わせて貰えば、私は亜矢さんの唄が好き、勿論、昔からの三波さんのファンの
方は三波さんでなければ満足なさらない方もおられると思います。そちらはそちらで、お任せしましょう。

亜矢さんは“希代”の歌手と言われます。あの類まれな美しい声と歌唱力で“歌謡浪曲”という大曲、難局
を見事な調子で唄ってくれますから、聴くものは興奮と感動を覚えて陶然となります。
作詞、作曲者なら、どなたもご自分の作品をあの亜矢さんに唄って欲しいと思われるのに違いない。
三波さんも、見事な調子で感動的に唄い切ってくれる亜矢さんに、草葉の陰から拍手喝采を叫んでおられる
のではないでしょうか。そして歴史に名を成した大作家“三波春夫”として大きな喜びをかみ締めておられ
るはず。もちろん“八島美夕紀”さんも。

ところで、過日“おじちゃん様”が書き込みされておられましたが、そろそろ亜矢さんのオリジナルの歌謡
浪曲も欲しいですね。浪曲では三波さんよりキャリアの長い、二葉百合子先生もついておられることですし
、期待したいです。

亜矢さんは非凡です。西洋には、神が天才に与えた最大の褒め辞で「汝に休息ナシ」という諺があるといい
ます。その才能をもって生まれたがために生涯休息がない。
思えば、当節引っ張りだこの人気振り、わずか得られる休息も心を安穏にしていられる時間はほんのしばら
くで、間もなくあれやこれやで頭の中は目まぐるしく“くるくる”と回りだします。
これは、“きっとそうだろう”との想像です。ウ~ン、天才は辛い。大勢のファンは、亜矢さんが益々元気
で活躍されることを期待してますヨ~、明るく頑張る姿をいつまでも見せて下さい。それが私たちの元気の
源でもあるのですから!!

それでは最後に、5曲の歌謡浪曲の作曲、編曲者を確認しておきます。

元禄名槍譜 俵星玄蕃    作詞構成:北村桃児  作曲:長津義司  編曲:長津義司
  〃   (亜矢版)     〃    〃    〃   〃   編曲:池多孝春
元禄花の兄弟 赤垣源蔵   作詞構成:北村桃児  作曲:春川一夫  編曲:佐藤川太
  〃   (亜矢版)     〃    〃    〃  〃    編曲:池多孝春
豪商一代 紀伊国屋文左衛門 作詞構成:北村桃児  作曲:長津義司  編曲:長津義司
  〃   (亜矢版)     〃    〃     〃  〃   編曲:京 建輔
決闘高田の馬場       作詞構成:北村桃児  作曲:山倉たかし 編曲:山倉たかし
  〃   (亜矢版)     〃    〃        〃   編曲:池田孝春
元禄男の友情 立花左近   作詞構成:北村桃児  作曲:春川一夫  編曲:佐藤川太
  〃   (亜矢版)     〃    〃     〃  〃   編曲:京 建輔

以上、2008/6/9 演歌桜・亜矢桜に投稿

11月29日のNHK「歌謡チャリティーコンサート」では、フルオーケストラ、フルコーラスでの「俵星
玄蕃」を聞かせてもらうことができましたが、NHKホームページでの圧巻の表現どおり、70名ものオー
ケストラと堂々と歌い合わす歌唱は誠にあっぱれだったと思います。
それは、藤野浩一さんによる新しい編曲バージョンでもあり、慣れない編曲での歌唱は特別な緊張を強いら
れたことでしょう。ほんのちょっとだけいつもと違うと感じた部分は、そんなところに由来があったかも知
れません。ともあれ、現場で聴かれた「談話室」のオーナー様はただ一人完璧に調和がとれていて、それは
それは素晴らしいものであったと話されておられました。またひとつ語り草が増えましたね。

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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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