『瞼の母』よもやま話(2)

中山道は日本橋から京都三条まで、69次、135里24丁8間になっていてキロ程では533kmになり
ます。これを昔の旅人は14泊15日の日程で往来したそうですから、1日平均35.5km程になり日に
約7時間ほど歩いたことになりますが、目的や個人によっても違ってくるでしょうから、宿場もたくさんあ
るのでしょう。
江戸時代の主な街道では幕府の公用をこなすための宿駅伝馬制度がしかれていて、宿場は次の宿場まで届け
るために必要な人馬を用意して置く義務を負わされていたそうですが、反面、宿泊のサービスや運賃で収入
を得る行為も許されていて、さらに年貢も免除されていたそうですから利点もありました。宿場の大小はあ
るようですが、それなりに人の往来や物流の結節点としての賑わいもあったことでしょう。

宿場の機能としては下のようなものがありました。(Web)
 問屋場~~~~人馬の手配など宿場の業務
 高札場~~~~幕府からの通達などを掲示
 木戸・見付け~宿場の入り口を示す施設
 本陣~~~~~大名や武士、公家が宿泊休憩した宿泊施設
 脇本陣~~~~大名や武士、公家、空いている時は一般人も利用ができた宿泊施設
 旅籠~~~~~一般旅人用の食事付宿泊施設
 木賃宿~~~~一般旅人用の食事無し宿泊施設
 茶屋~~~~~~お茶や食事などを旅人向けに提供する施設(座って、水だけなら無料)

さて、「番場宿」は京都三条大橋から数えて九つ目、大津からは八番目の宿で現在の米原辺りになります。
資料では、本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠10軒、員数808人となっていますから、宿場としては小さい方
です。忠太郎が生まれたという「おきなが屋忠兵衛」は六代続いた旅籠という設定になっています。
長谷川伸さんは江戸から遠く離れたこの地をなぜ忠太郎の生地としたのでしょうか。忠太郎の言葉ではこの
地のことをこのように言っています。
・・・ところは江州阪田の郡、醒ヶ井から南へ一里、磨針峠(すりはりとうげ)の山の宿場で番場という処
がござんす。そこのあっしは。・・・この後、・・・五つの時に縁が切れて二十余年、もうちょっとで満三
十だ。と言わせていますから、探しあぐねる時間や距離は長くて遠いほうが良いとしたのでしょうか。

ところで、江戸時代の「木曽名所図会」には、街道に沿うた番場の宿の町中に“仲時の塚”というのが載っ
ているそうで、この番場は かって六波羅探題であった北条仲時が後醍醐天皇の綸旨を受けた足利尊氏に攻
められて東国へ落ち延びようとする途中、京極(佐々木)道誉に行く手を阻まれて、この辺りの辻堂で仲時
以下432人が集団自刃するという悲惨な出来事が起きています。この時、流れ出た鮮血で辺りは川と化し
たと言われていますが、仲時28歳ほか6歳の子供から60歳の高齢者に至るまでがこの地で果てました。
ここで果てた人の名を記した過去帳が番場近くの「蓮華寺」に残されており国の重要文化財に指定されてい
るそうです。
また、長谷川伸の戯曲「瞼の母」の舞台として知られる番場の忠太郎の故郷として境内に忠太郎地蔵や碑が
立てられているそうです。(滋賀県・観光情報)

しかし、忠太郎は創作上の人物ですから歴史的価値は持ちませんが、長谷川伸が何故この地を忠太郎の生地
としたのか、仲時一党の自刃事件という歴史的大事件と併せ興味が持たれるところです。
ただ、字名で“バンバのチュウタロー”と言えば語呂がいいのは確かですが、それだけでこの地にしたと考
えるのは果たしてどうだろうかと、疑問の余地も大いに残ります。

戯曲の序幕第一場は、嘉永元年(1848)の春、忠太郎が弟分である金町の半次郎の後を追って江戸川沿岸南
寄り、武州南葛飾郡金町にある半次郎の生家、瓦屋惣兵衛の家を訪れるところから始まります。(帝釈天の
辺りでしょうか)。ちなみに半次郎の親分は前年に死んだ笹川繁蔵ということになってるから、平手造酒と
も同じ子分同士ということになりますが、これは余談。この地で飯岡助五郎一家の者に半次郎が襲われるの
を忠太郎が助ける筋書きとなっていますが、ここで一応の始末をつけた後、忠太郎は風の噂に聞いた母親の
消息を訪ねて江戸へと向かいます。

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