人別帳

お徳の人別帳
五目牛村の千代松の家に月雇の奉公人としてくる(天保7年3月)前のお徳には大きなトラブルがあ
ったようである。茶屋の看板娘の徳は目立つ存在で明朗、活発、利発で読み書きも出来るので、引く
手あまたの中、高井但馬守知行所の村の豪家に望まれて嫁ぐことになるのだが、婚家の嫁暮らしが耐
えられずお徳は了承もなく出奔してしまう。婚家では心当たりを隈なく探すも見つからないので、困
りきって領主高井但馬守陣屋にまで、事態の糾明を訴願する。
高井家では他支配の五目牛村まで出張して糾明に当たったのであるが、事態は元に戻らず損害賠償等
の示談によりお徳はトラブルから解放されることになった。このとき、天保8年(1837)徳22才。

この3年後千代松の奉公人「月雇女」徳は千代松の女房に変身する。臨時の月雇女のままでは女房に
なれず、人別の移入がなされなければならないので送籍が行われる。
天保11年(1840)保証人になってくれた中里村の親類の名主利兵衛から送籍が行われた。
     送手形之事
 一 此方佐兵衛娘とく当子ノ廿五才、其御村千代松女房ニ同村半次郎仲立ヲ以て致縁組差遣申候、
   然上は此方人別帳相除可候、巳来御村方人別御帳面ニ御書加可被成候、為後日送手形差出申
   処仍而如件                               
                                 酒井奥左衛門知行所
                                 西上州群馬郡中里村
                                   名主 利兵衛 印
   天保11子年4月
   平岡四郎兵衛御知行所
    東上佐位群五目牛村
    御名主 直右衛門殿へ

  この方の佐兵衛とく二十五歳を五目牛村千代松の女房として同村の半次郎を仲人にして結婚の
  上差遣わします。当方中里村の人別帳から除きますので、以来五目牛村の人別帳に書き加えて
  下さい。              
(以上、高橋敏 著「国定忠治を男にした女侠」より)

 ※人別帳についてはWebサイトに以下のような記述がありましたので引用します。
江戸期の”人別帳”は町人にしろ農民にしろ、その戸主が家族・雇い人(奉公人)の構成・年齢・出
身地などを記して檀那寺に納めた書類に対して、寺院がその住民はキリシタンでは無い旨の証明をす
る形式であり“宗門人別帳”と呼ばれています。このために、戸籍台帳としての機能を果たします。
ある人が無宿人になるのは、何らかの咎(トガ)で”所払い”の判決が出ますと現在の居住の場所か
ら身元引受人のある場所(出身地の親や親戚縁者)に移る事を意味しますから、雇い主から檀那寺に
申請した引越し・移送理由を記した”送り一札”と云う身分証明書と移動許可書を発行してもらいま
す。この”送り一札”を持った人は身元引受人の元に赴き、この書類を渡しますと、この引受人の檀
那寺に”送り一札”は届けられ、この引受人のもとにある人物として、この寺の”寺請証文”が発行
され、引受人が了解した”請込一札(受籍状)”とあわせた2通の書類が送り状を発行した檀那寺に
届けられて戸籍の抹消と新戸籍の成立がなされます。
しかし、所払いの人が身元引受け人のもとに出向かずに”送り一札”を渡さなければ、この段階から
戸籍が宙に浮き、これが”無宿人”であり、再び人別帳に記載されるためには引受人のもとに出向い
て居住地を定めてもらう必要があります。


上の“お徳”の場合は名主間において書類上のやりとりでもって人別帳の除籍、入籍が行われている
ように考えられますが、最終的には檀那寺に送られていたのでしょう。
江戸時代の戸籍制度が宗門人別改帳にあったようですから、実務は名主が行い寺への届は後で行うと
いったことが実態としてあったと思われます。
村役人は村方三役(名主・組頭・百姓代)で構成されて村落内の行政を行っていて、その代表を東国
では「名主」、西国では「庄屋」と呼ばれる例が多いといいます。

亜矢姫の「赤城山」を発端にして忠治さんのことを調べながら、こんなことまで勉強させてもらえま
す。昔、立花隆さんの著書に「インターネットはグローバル・ブレイン」というのがありましたが正
に実感します。インターネットは素晴らしい!!

読書する徳(還暦寿像):サムネイル
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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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