『永遠のゼロ』 と 『想い出よありがとう』

小説『永遠のゼロ』に絡んで島津亜矢さんが唄う『想い出よありがとう』が話題になっている。
この歌、2011年6月に発売されたアルバム『悠悠』に収録されているのだが、今、You Tubeに零戦の映
像と共にUPされている。
これまで、意味するところを深く考えもせずに聴いてきたこの歌だが、この映像に乗せられることによって
妙に生々しく心に迫ってくるものがある。
一人称で書かれている歌詞の一言一言が、その人の人生に同化させられて色々の事を想起させるのだが、メ
ロディーもまた、島津亜矢さんの唄声を乗せて哀切を漂わせながらも、何か‘ 吹っ切れた ’ような澄んだ
心の有り様を表しているように思えて、深い余韻に誘われる。いまさらながらに、名曲だと思う。

この映像と詩は余程の意味を持つものとして、この小説のなかに描かれているのかしらと思って興味を持ち
つつ読んでみたが、実はここで描かれるている特攻隊員とこの詩は実は何も関係ないことが解り、いささか
拍子抜けの感がしないでもなかった。
ただ、この映像とこの歌を結び付けてUPされた‘AYACHANNEL100’様のイマジネーションは小説家や、音
楽家のような豊かさがお有りだと思うし、阿久悠さんの詩作への想いにまでも心を馳せておられるから、こ
の歌に対する思いは相当に深いものがお有りだと察せられる。

小西良太郎さんが、『悠悠』の歌詞カードでこの歌について次のように書いておられる。
・・・胸を衝かれたのは、都志見隆が作曲した「想い出よありがとう」だった。「想い出よありがとう、時
が過ぎ、懐かしさだけが、胸の扉を叩きに、今日もまた訪れて来る」と、達観したような別離が、穏やかに
しみじみと語られている。聞きようによってこれは、阿久のラストソングである。彼はいつごろ、どんな思
いでこの詩を書いたのだろう・・・40年余の親交があり、阿久の最晩年も身近に居た僕は、亜矢が歌うこ
の曲の大きさと深さに、そんな感慨を新たにした。・・・

『永遠のゼロ』、読み物としては、零戦の戦闘シーンが手を変え品を変え書かれているし、根底に流れてい
るものは正義と優しさであり、それが全篇に貫かれているから、安心して読み進んで行ける。
プロットはどんでん返しのような設定もあり、いささか過ぎる感もあるが娯楽読み物としては面白い。
この作家、ある意味、浅田次郎さんにに通じる優しさが根底にあると思えるが、差し当っては次の何かを読
んでみたいと思っている。
著者は百田尚樹さんだ。氏は最近のツイッターでこんなことを書いておられる。
~『永遠の0』が出版されたのは2006年の八月。太田出版の岡さんがいろんな書評家に本を送って「読んで
下さい」とお願いしてくれたが、ほとんど読んでくれなかった。稀に読んでくれた人は「話にならん!」と
酷評し、書評にはついに一度も載らなかった。唯一、認めてくれたのは児玉清さんだった。~とある。

その児玉清さんが、この本の巻末で解説を執筆されている。
~心を洗われるような感動的な出来事や素晴らしい人間と出逢いたいと、常に心の底から望んでいても、現
実の世界、日常生活の中ではめったに出逢えるものではない。
しかし、確実に出逢える場所がこの世にある。その場所とは、本の世界、つまり読書の世界だ。もっと場所
を小さく限定すれば、小説の世界といっていい。
作者がそれぞれの思いや願いをこめて、様々なテーマで、人物や舞台や時代を設定して物語を紡ぎ出す小説
。そこには当然のことながら好むと好まざるにかかわらず、作者の全人格が投影される。
従って、常に読む者の心を清々しく洗うことのできる小説を書ける作家、素晴らしい感動を書ける作者とい
うのは自ずと限定されてくる。今回、紹介することとなった作家、百田尚樹は、まさにそうした範疇に入る
作家の一人で~~と、ある。

百田さんは、唯一認めてくれたのは児玉清さんだったとツイッターで述懐されておられるが、その恩人であ
る児玉清さんも今は亡い。しかし、氏のデビュー作である『永遠のゼロ』は240万部を突破しているのだ
という。
昨日、一昨日に今年の直木賞、芥川賞の受賞作が決まったようだが、無名の作家にとってはこの賞を獲れば
権威筋からお墨付きを頂いたというようなものだろうから、名前が知られて作品も売れるだろうし、将来が
約束されたようなものだ。マスコミも大々的に発表するから尚更だ。
百田氏は「僕には全く縁のないイベントやなあ、」とツイッターで書いておられるが、果たしていつまでも
そうなのだろうか、240万部も売っている作家さんの言葉である。

物事の権威や箔を付けるというのは、いったい誰がどのように行うのかを端的に言えば、作家ならば諸々の
賞の受賞だろうし、歌手ならばヒット曲を出すことやNHKの紅白にでること、或いは業界筋の諸々の賞を
受賞するのが最も手っ取り方法なのだろう。
しかし、忘れてならないのは大衆の目や支持だと思う。何事も大衆の支持の大きさが物事の価値判断の基準
としなければならないものだと思う。
その基準をおろそかにすると、権威筋の威力が軽くなって果ては失墜することになる。それほどに、大衆の
支持というものは重要視されるべきものだろうと思う。
だから、幸運にも権威の中枢にいる方々は公正中立を旨として、あらゆるチャンネルを駆使して、常に大衆
の動向というものを注視していて貰わなければならなし、その威力の行使も大衆が頷けるものでなければな
らないと思っている。要は権力や威力を振り回してはならないと思うのだが、如何。

http://www.youtube.com/watch?v=LMyW8vk-iNE

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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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