『ヨイトマケの唄』と無償の愛

美輪明宏さんと言えば、2012年大晦日の紅白で『ヨイトマケの唄』をフルコーラスで唄われて一大セン
セーションを巻き起こしたのは記憶に新しいところだが、現在78歳ながらも多方面において活躍されてお
られる。以前はテレビ番組「オーラの泉」で活躍され人気を博していたというが今は放送が終了している。

現在は歌と演劇を中心にして活躍中だが、その哲学的思考から氏の名言がいくつものtwitterでつぶやかれ
ている。ツイッタラーは複数いるが、これらは氏の著作物などから拾い上げたものや、Web上で自動収集し
てつぶやいているものが殆どだと思う。内容については示唆に富むものが多く、成程と感じさせるものが多
い。

氏は長崎県生まれで、10歳の時に原爆に遭ったが偶然に居た場所が爆心地と離れていたので難を逃れるこ
とができたという。15歳で歌手を夢見て上京するが、順調にはいかず新宿駅構内で寝泊まりするほどの苦
労と辛酸をなめている。以後、進駐軍で歌ったりしていたが、やがて銀座のクラブ『銀巴里』での歌手活動
が評判となり一躍名を挙げる。この辺のところは、なかにし礼さんの著作『黄昏に歌え』で、美輪さんのこ
とをかなり取り上げて書いてあった。
美輪さんは次第に人気を博し、三島由紀夫、川端康成、なかにし礼等、多くの文化人の支持を得て広い交友
を持つようになったという。

以後、順風満帆にいったかといえば、そうではなく『銀巴里』での人気も薄れてやがてまた不遇の時代を迎
える。その、後『ヨイトマケの唄』が大ヒットして人気をぶり返すが、この頃に、知己だった九條今日子
(寺山の元妻~今年4月30日逝去)の紹介で寺山修司と邂逅する。(この頃は美輪さんの方が知名度がは
るかに高かった)
寺山修司は演劇実験室「天井桟敷」を旗揚げする。1967年『青森県のせむし男』で既成概念を超えた表
現を追求する俳優の中心に美輪明宏を据えた。公演は新宿の映画館で映画が終わってからの夜十時から上演
した。これが大当たりして、美輪は役者としてもその才能を開花させたという。

このように、波瀾万丈の人生を生きてきた美輪明宏さんだが、その精神は非常に哲学的で人間愛に満ちたも
のに思える。美輪さんは究極の愛が[無償の愛]だと言われるが、まさしくそれが『ヨイトマケの唄』の世界
そのものなのだという。
今の世にこそ必要なのは 無償の愛だと 美輪は歌いかける『ヨイトマケの唄』~昔、教室で見た友達の母
親のすがた、こどもが二本の汚い鼻汁を垂らしているのを口を近づけて吸い取って吐き捨て、きれいにして
やった姿が衝撃的で忘れられなく、また通りすがりの道端からこのお母さんがヨイトマケの綱を引いている
姿を目撃したりする。足が少し悪いようで時にヨロケルようにも見えたが、子供のために・・・後に歌にし
たのがこの歌だという。これがすなわち無償の愛だと。
「愛は冷めないんですよ、愛してしまえば永久じゃありませんか、傷つくこともない 盤石ですよね、無償
の愛なんですよ、ヨイトマケのお母さんと同じ」

NHKに「100年インタビュー」という番組があり「歌手・美輪明宏」編が4月13日に放送された。
この番組は2013年12月30日に放送されたものらしいが、この日再放送されたので録画した。
初めて素顔の美輪明宏さんを映像を通して拝見したが、話されるその一言一言が感銘的でその考え方も信念
に裏打ちされた哲学的なものが多く示唆に富んでいて、感銘を受けると共に尊敬の念さえ覚えた。

下は、インタビューに応えられたほんの一部だが、‘プロとしての生き方’についても語っておられたので
これはと思い、書き起こした。
私は島津亜矢さんのファンだが、この美輪さんの生き方がどこか亜矢さんにも似たところがあるような気が
したので敢えて書く気になった。もっとも亜矢さんはお母さんと二人三脚だと感じるから、こういう考え方
がお二人に通底しているのかも知れないなどと思ったりしている。・・・・・

残したい言葉がある。伝えたい生き方がある。
美輪明宏・・・「私も去年の紅白でえらい騒ぎになりまして、今まで私も何度かブームがありましてね、う
っかりブームに浮かれて頂点までやってしまうと、それと同じくらいの‘負’がくるんですね、マイナスが
ドーンと、それが病気でくるか、対人関係でくるか、仕事でくるか何らかの形でくるんですよ。
だから、それがこないようにということ事で、だから、あの世界的な大スターはやっぱりもの凄い亡くなり
方をしているでしょ」
「ケネディーにしても、エルビスプレスリーにしても、マリリンモンローにしても、マイケル・ジャクソン
にしても、そのわーっと頂点までいくと腹いっぱいになると同じ位の負がくるんですね、私、長い人生でじ
~っとそれを、古代からね、英雄から、いろんな人達の歴史をみてましてね、また私の身の回り、近代の人
達、自分自身の生涯、それぞれ常に比較論で比較してみますと、ちょっと‘あぶない’と思い、私がコマー
シャルの仕事も断り、いろんな番組のバラエティーなどもお断り、とにかくブームにならないように、なら
ないようにって、そういう心がけでず~っと来たんですね」

石澤アナ・・・リーダーとしての生き方について・・・
「相当自分を厳しく戒めておかないと、例えば座長としてリーダーとして一つの公演を上手くもっていこう
と思うと~?」

美輪・・・「いや~、私は皆さんに、もう初日の顔合わせの時に、わたくし演出もやってますでしょ、顔合
わせのときに言うんですよ、‘仕事にきたんですから’ここが仕事場です。????の懇親会にきた訳では
ございませんから。で、私は初日祝いも、中日祝いも、千穐楽の祝いもやりません。やっぱり人との付き合
いは腹六分にしておいてください、お金の貸し借りもしないでください、時間は厳守、ビジネスライクでお
願いしますって言ってるんですね、だからギャラが貰える訳だから、やっぱりそれと責任感ですよね」

石澤アナ・・・「きちっと一つの公演をお客様に見せるという責任感ですか」
美輪・・・「て、言うのは昔ね私は銀巴里というライブハウスで出ているときに受付のところで受付の
‘おばさん’としゃべっていたら、北海道からきた青年がいましてね仲良しだったんだけど、あちら夏は
仕事があるんだけど冬は仕事が無いんですね」
「だからアルバイトに皆さん大挙して来るんですね、で一生懸命にとにかく建築関係の仕事したり汗まみれ
になって働いて、で、そのお金を握りしめてそこでチケットを買ってたんですよ、それがね、汗で湯気が出
そうなお金だったんですね。‘あたしはこれに相応しいだけの歌唄ってるだろうかと思ったんですよ’そし
たらそれまで聴かせてやるみたいにスターぶって唄っていたのが、まあ~、恥ずかしくて血の気がさ~っと
引いちゃったですよ、ぞ~っとしちゃって、なんて傲慢だったんだろうと思って、じゃあ、この一生懸命働
いて(得た)150円に対しての、そして私はもう、その人が一生私の歌をこれっきりで聴かない可能性も
ある訳ですね、どっかえ行かれるとか、病気になるとか、まあ縁が無くなるとか、いろいろあるでしょうし
、そのときに最後に聴いた私の歌があんなもんだと言う風に思われるのが、とても申し訳ないと思って、で
すからやっぱり料金に見合うだけ以上のものを差し上げないとね、いま世間で話題になっているインチキ商
売になりますでしょ、だから、それがず~っと頭にありますね」

美輪・・「今の世の中が何か第二次大戦前の始まる時代となにか似てきて、きな臭くなってきているような
気がして、だからこれは人々に警鐘を鳴らさなければならないと思いましたので、若い方達は戦争が何たる
ものかは知らないから・・・知らしめる義務があると、責務があると思ってコンサート一部、二部の構成を
いつもとは変えて行なうことにしたのです」

最近のコンサートで美輪は必ず反戦を訴える
唄うのは『悪魔』詞・曲:美輪明宏(1971)

世間の奴等は俺たちを 悪魔のなんのと言いやがるが
今では俺たち悪魔より 人間どもが恐ろしい
こんな危ない地球には 住んじゃ居られぬ オサラバだ
けれども この世を去る前に 俺たち悪魔を追い出した
憎い奴等に華やかな 呪いの言葉を贈るのだ
覚えていろよお前たち 悪魔を食った亡者たち
戦争亡者の欲張り亡者 みんなみていろ全滅だ
首切り道具をつくりだし その名も高いギロチンは
自分で造ったギロチンで 自分の首をはねられた
原爆 水爆大好きな 戦争亡者の親玉よ
お前の親や兄弟が 女房や子供が 恋人が
焼けて爛れて死ぬだろう 苦しみもがいて死ぬだろう
そうして最後は手前(てめえ)らだ ボタンを押したその指は
真っ赤な血潮を這い回り ドクロになったその口が
戦え! 戦え!と叫ぶのだ
真暗闇で叫ぶがいい!!


上で話されている・・・汗で湯気の出そうなお金を出してチケットを買ってくれる話・・
これとよく似た話を、亜矢さんが語られる事があります。
キャンペーン回りをしていてCDを手売りしていた頃、年老いたじいちゃんが腹巻からよれよれのお金を出
してきて一枚くれと買ってくれたあの時の思いが忘れ得ないと・・・こんなことからも、亜矢さんの謙虚さ
や、人の情や、心の温かみが解る、そういう感性が間違いなく歌にもこめられていると感じるのです。
そして、なにも頂点に立っていなくてもよいと思うのです。一番上に立てば、いつ何時足元をすくわれるか
分からないから遮二無二足踏みしていなければならず、精神も落ち着かないはず。またファンに何を与えれ
ば喜んでもらえるのかも分からなくなってくることもあり得る。同じことを繰り返していればいずれ人気は
遠のき、次第に山の下は寂しくなる。単なる表向きの山の頂など人々は遠くから眺めているだけだ。
それより、今度はどの山登ろうと意欲を失わず、深くて熱い芸道を披瀝して下されば後押ししてくれる人々
は引きも切らないはず。実力がナンバーワンの証しですから、常にそれを目指し続けて努力をして下されば
それに越したことはないではありませんか、と・・・結びたいのですが、ファンの方々はどうお考えになら
れるでしょう・・・・・


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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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