なぜ 生きる

昨日、島津亜矢さんのシングルCDで、2006年から2009年にかけて発売されたものを何枚か
集めて聞き流していました。例によってセリフ入りの曲も多数あります。
『お吉』が発売されたのは2006年9月13日です。C/Wは旅笠道中。
歌の中に織り込まれている、お吉の独白が人生の苦悩を際立たせていて身につまされる思いがするの
ですが、しばらくお吉の境地に立ち入ってみましょう。

「ひどい!ひどいじゃございませんか いくら私がハリスの処へ行く事を承知したからといって・」

「鶴さんそりゃァ あんまりだァ たとえ 天城の山が崩れても このお吉を 離すもんかと言ったあ
れは嘘だったのかい あゝ こんな悲しい筋書きを誰が書いたんだい 夢さ 夢にきまってるよ・」

「あゝ お酒がほしいよう お酒で何もかも忘れてしまいたいのさ 愚痴も涙も涸れ果てました あゝ
あたしの人生ってなんだったんだろうねぇ」

「あゝ 寒い・・ 鶴さん 今行くからね」・・・生きる希望を失ったお吉は自ら命を絶ちます。

この『お吉』の作詞は志賀大介さんです。お吉の心情をかくも悲しく描き切って人々の感情を同期さ
せずにおかない筆力は、とてつもなく素晴らしいものだと思います。
そして島津亜矢さんの歌唱も、これまたとてつもなく素晴らしいと思います。感動があってこその
芸術だと思いますが、人の心に入り込まなければ感情の同化は得られないし感動も得られない。
そんなところに、創作家の計り知れない人間洞察力と試行錯誤があったに違いないと思えます。
この歌は真の歌謡芸術だと思うし、一時の流行歌に終わらない格調があると思います。島津亜矢さん
の持ち歌にはこんな芸術作品が他にたくさんあるんですね~。素晴らしい!!

志賀先生は『日本音楽著作家連合』の会長さんです。
ちなみに、初代会長は藤田まさと先生(旅笠道中、大利根月夜、岸壁の母)、第2代会長は星野哲郎
先生(なみだ船、男はつらいよ、兄弟船)、第3代会長は松井由利夫先生(だから云ったじゃないの
、箱根八里の半次郎、流れて津軽)第4代会長志賀大介先生(お梅、お吉、八重~会津の花一輪~)
です。

お吉のように生きる意味を失って命を絶つひとは現代でも数多くいます。一方、生きたくてもそれを
許されない過酷な運命の人も数多くいます。すべてが幸せで順風満帆な人生を送られる方ばかりでは
ありません。まさに、人生いろいろだと考えさせられますが、お吉の場合は時代の波に翻弄されて、
うたかたの夢のなかに生きた哀切きわまりない女性だったのだと考えさせられます。

『旅笠道中』は藤田まさと先生作詞ですが、島津亜矢さんの歌では野本高平先生が台詞を構成されて
います。これも、ちょっとなぞってみましょう。

「人間 おぎゃアと生まれて思う様に生きられる者は 一体何人おりましょう 上を見ればきりがな
い 下を見れば我慢もできる 近道なんかするよりもせめて おのれの心に嘘をつかづ 生きてみた
いと思います」

「明日がない 夢がないと仰るんですかい そりゃ一寸先は闇の浮世と云いますが ごらんなさい道
端の 名もない小さな花でさえ 春が来りゃぁ世に出ます この人間界(うきよ) まんざら捨てた
もんじゃございませんぜ」・・・・・ここでは前途への光明が見えています。

ここにも苦悩を抱えて生きている人がいますね~、人は皆多かれ少なかれ苦しみや悩みを抱えて生き
ているのでしょうが、生甲斐を無くしてしまえばもぬけの殻になってしまいます。
「なぜ生きる」と問われれば私など返答に窮してしまいますが、宗教に人生の拠り所を得ておられる
方は別にして大概の方は命題をもって明答できる方は少ないかも知れません。

これほどに、悩みや苦しみの多い人生ですから、何かしら生甲斐を見つけて暮らしたい思います。
論語を熟読している訳ではありませんが、たまたまこんな語を見つけました。
貧しくして楽しむ。
貧乏であろうとも、あわてることはない。目的をもって生きる、信じるところに生きる、趣味に生き
る、修養につとめる、そこにおのずから、積極的な人生の楽しみが生まれるのだ。・・・
こんなところが参考になるのでしょうか。

・・・趣味ならやっぱり芸術の香り高い島津亜矢さんですかね~。・・・

 野本高平先生については昔こんな事を書きました。

つい先日、義弟が逝きました。悲しみはまだ癒えていませんが、病院を一時退院し、力を振り絞って
銀行回りをして、業務上の月締め債務を支払処理をいていったその姿が、忘れ得ぬこととして瞼にあり
ありとしていますが、その五日後に逝きました。
その誠実さ、その人間性の尊さに感嘆させられるのですが、まさに凄絶な人生の終わりだったと言え
ます。そんな生き方は私にはとても出来そうにありませんが、人間力と胆力を備えた人は市井にもい
るのだと思い知らされた思いがしています。人生って何、生きるって何、人の一生は、はかないもの
と解ってはいますが、その時になって自分の心をどう律するのか、難しい命題です。

中日劇場の千穐楽は上の事情で参加できませんでしたが、手元に残ったチケットは思い出の一枚とし
て、いつまでも残しておきたいと思っています。

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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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