核心を掴む話

4月30日土曜の朝、ヴァイオリニスト宮本笑里さんを取り上げた『サタデープラス』という番組を
見ました。この方、24歳の時CDデビューすると、その美しすぎるビジュアルとメロディーが話題
となり、2010年にはニュース番組のキャスターにも抜擢されたということですが、現在は音楽家
としての活動を主とされておられるようです。

もともと、私などは不明な人間だからこの方のことを予て知っていた訳ではないのですが、お父さん
も世界的オーボエ奏者として名を馳せた宮本文昭さんと仰る方で、知る人ぞ知る方だという。
著名な音楽家の家族は、如何に音楽と係って生きておられるのか、興味の湧くところでとうとう終わ
りまで見てしまった。

文昭氏は笑里さんの音楽について、逐一の指導はされずに遠くから眺めるような態度で接しておられ
たようですが、いつもまだまだといういう思いで見ておられたと話されます。
後年、あるコンサートで笑里さんの出す音が自信に満ちていて、内心驚きと満足感を得られたのだと
話されました。
文昭氏は話します。「音楽家は表現することが仕事、良い表現を生み出すには核心を掴むことが大事
で、それを得ることが出来れば音も変わる」と、自信をもった話しぶりがとても印象的でした。
この時なども倍の音が出ていたと、内心の驚きを感動的に話されていました。

こんな話をお聞きするとジャンルは違えども幼いころから天才と謳われた島津亜矢さんの場合はどう
だったのかしらと、興味が湧いてきます。
プロになる前の亜矢さんが歌の表現について、すでに核心を掴んでいたとまでは考えにくいけれど、
すくなくと周りの大人たちの期待は相当なものがあって地元のテレビ局で番組を持っていたなどと言
う話は相当にインパクトのある話です。
後に、テイチクのスカウトさんは亜矢さんの自宅へ向かうのですが、この方に同行してこられたのが
作曲家の弦哲也だったことは亜矢さんがずっと後に知ったことでした。これなども奇縁ですね。

亜矢さんは1986年5月「袴をはいた渡り鳥」でデビューします。この時のレコードジャケット写
真にある亜矢さん着用の袴のデザインは故岡本太郎さんの手になるもの。ジャケット写真にそんな説
明があったか、なかったか、そこまでは知らないけれど、とにかくそう言う事だったらしい。
そしてこの年の10月に初めてのリサイタルを東京読売ホールで行っています。デビュー間もない新
人がリサイタル。普通の歌い手さんでは、なかなかこうは運ばれないでしょうから驚きですね。

そして88年7月には、初の海外公演(ホノルルシェラトンホテル)も行っています。その後の亜矢
さんの活躍の記録はかなり前の「むぞらしか 亜矢ちゃんメモリー」に詳しく書かれていますので、
ファンの皆様はよくご存じのことでしょう。

さて、亜矢さんが歌の表現について核心を掴んだのは何時頃かと、思いを巡らすのは興味本位に過ぎ
ますが、よくよく考えればこんな事はご本人以外解る筈も無いので、詮索は無用ですね。
ただ、亜矢さんの歌に対する感性はもの凄く深くて鋭いものがあると感じていて、例えば「帰らんち
ゃよか」についは、バッテン荒川さんに歌わせて欲しいと直接お願いしているし、「娘に・・・」の
場合も吉幾三さんに直接お願いしておられる。

“この歌、歌いたい”という感性がとても鋭いのだと思いますし、ご本人の感受性ともマッチすると
ころが大いにあると思えるから、その表現についても俄然思いのたけがこもってくる。
「音楽家は表現することが仕事、良い表現を生み出すには核心を掴むこと」という事を、自然体で会
得しておられるとしか思えない。
持ち歌にしろカヴァー曲にしろ唄い出しにかかれば、聴く者の耳を一点集中させずにおかない魅力が
あると思えるのですが、如何。

思えば、「帰らんちゃよか」も亜矢さんが唄われたことから紅白でも披露されて世間的にも名曲と謳
われるまでになりました。「娘に・・・」の場合も亜矢さん流の父娘の情感が息づいていると感じま
す。何れも名曲として永久に残っていくのだと思います。
もちろん、その他の持ち歌も古くても鑑賞に堪え得るものばかりで、コンサートで唄われていない曲
をいつかきっと生で聴かせて欲しいと願っておられる方もきっと多いことでしょう。

亜矢さんの歌をCDで聴くには、それなりにちゃんと時間をとってじっくり聴きこみたいという思い
が強いから、家の中では集中的に聴くことになります。カーオーディオなら流し聴きなのですが、自
分の場合、家では流し聴きとはいかない。
亜矢さんの歌は音圧が強くてそれなりに力感もあるから、軽く聴き流すとはいかないところが人によ
って好悪の分かれるところかも知れません。

最近、町の図書館にあるジャズCDを何枚も借り出してきてパソコンに取り込んでいるのですが、も
ともとこちらに興味があった訳ではなく、魂胆はただ一つ、将来亜矢姫さまがひょっとして唄われた
時の、心の準備をしておきたいというのが本当の気持ち。
そんな中で、本当に、本当に、気持ちの良い歌声と出会ってしまって、今ゾッコンな気持ちになって
います。隣の部屋にいた家内がこちらに立ち入ってきて、“この人だれ”って聞きにくる程の癒しの
歌声。
ナット・キング・コールなのですが、歌の意味は解らずとも歌声を聴いているだけで癒される。
昔聴いたフリオ・イグレシアスよりも良いかも、フランク・シナトラよりも良いかも、全くもって亜
矢姫さまのお蔭でこんな素晴らしい歌声を聴けるとは、いやはやの思いです。

亜矢姫さまも、一息抜いた感じの歌声で色々の歌を聴かせて貰えないものかしらと、あらぬ方向に期
待が膨らんでいくのですが、しかし亜矢姫はご自分の歌の核心を掴んでおられるから、一大転機とな
るような変化は望まれないかもしれない、いや、亜矢姫さまは誰もが呼ぶ天才だから断定しては失礼
だ。あれやこれやと、思いはあっちゃ、こっちゃで、夢をみるのも楽しいものです。

ところで、美空ひばりさんはナット・キング・コールに私淑していたらしく、カバーアルバム(12
曲入り)を出しておられます。Webで試聴できるのですが、試聴した結果は自分の好みに合わない感
が強いので、これを入手したいという欲は起きませんでした。
ただ、ナット・キング・コールは2枚も買ってしまった。いや3枚だ2枚組もありますから。

コンサートなどなかなか行けないので、いきおい碌でもない話ばかりになりましたが、読んで下さっ
て有り難うございました。6月には大阪まで出向きますが、楽しみですね~。

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    Author:ふうてんの猫
    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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