赤城落ち

天保13年(1842)の8月19日、田部井村(現伊勢崎市田部井町)で賭場を開いていたところ
へ、突如関東取締役出役の捕り手が襲ってきた。忠治は日光の円蔵とともに血路を開いて赤城の山に
逃げ込むのだが、この手引きをしたのが二足草鞋の博徒、勘助(三室勘助)だったと後で判った。
勘助は子分浅次郎(板割りの浅太郎)の伯父である。このとき浅次郎は田部井の賭場にいなかったた
め、勘助としめし合せて自分をはめたと疑われ、それを晴らすためには勘助の首をとってこいと忠治
に迫られる。二心の無いことを証明するには、浅次郎はこれを実行する他なかった。

9月8日深夜、浅次郎他8名が勘助の住まい(借家)を襲い、槍で突き殺してしまうが、このとき勘
助に抱かれて寝ていた2歳の幼児[太良吉]まで殺してしまった。
(この家の貸主は津久井要蔵という人だとか・・あのマネージャーさんと同じ姓。ひょっとして?)

関東取締役出役に敵対してきた忠治の勘助殺害は、明らかに幕府に対する挑戦であり、事態はこれを
きっかけに幕府の威信をかけた大捕り物へと発展してゆく。
・・(以上は、高橋 敏先生が羽倉外記[号は簡堂~国定村の代官を務めたこともある旗本]が著した
「赤城録」を考証して執筆された図書「国定忠治」に拠ります。)・・

このような状況となり、忠治は赤城を落ちていくのですが・・・これを題材にした話は浪曲、講談、
芝居、歌などに多く取り上げられています。
歌では「赤城の子守唄」で、死んだ筈の[太良吉]が浅太郎に背負われて生き返っているし、また、新国
劇における「国定忠治」ではあの名セリフが特に有名になり華やかな時代があったとそうですが、今は
解散してしまって、あのセリフを聴けるのは亜矢姫の歌だけになってしまったのではないでしょうか
。亜矢姫の歌は貴重です。

それでは行友李風の戯曲「国定忠治」赤城天神山不動の森の極付を
 忠治  鉄―。
 巌鉄  へい。
 忠治  定八。
 定八  なんです、親分。
 忠治  赤城の山も今夜を限り、生まれ故郷の国定の村や、縄張りを捨て国を捨て、可愛い子分の
     手めえ達とも、分かれ分かれになる首途(かどで)だ。
 定八  そう云ゃなんだか嫌に寂しい気がしやすぜ。

     ・・・雁の声。

 巌鉄  あゝ、雁が鳴いて南の空へ飛んで往(い)かあ。
 忠治  月も西山に傾くようだ。
 定八  俺ぁ明日どっちへ行こう?
 忠治  心の向くまゝ足の向くまゝ、当ても果てしもねえ旅へ立つのだ。
 巌鉄  親分!

     ・・・笛の音、聞ゆ。

 定八  あゝ円蔵兄哥が・・・・・・。
 忠治  あいつも矢っ張り、故郷の空が恋しいんだろう。
 
     ・・・忠治、一刀を抜いて溜池の水に洗い、刃を月光にかざし――

 忠治  加賀の国の住人小松五郎吉兼が鍛えた業物、万年溜の雪水に浄めて、俺にゃあ、生涯手め
     えという強い味方があったのだ。

     ・・・定八、刀を拭う。

先日、NHKで今は亡き辰巳柳太郎さんと島田正吾さんの喜寿の時の「蔵出し劇場」が再放送されてい
て興味深く視聴ましたが、お二人ともとても風格のある俳優さんでした。

新国劇には独特の型があり、中でも「国定忠治」はその名台詞とともに最も新国劇らしい「型芝居」とし
て知られていたと言います。赤城天神山不動の森の場面、大正7年の初演以来「国定忠治」といえばこ
の名場面を思い出す程のものだったと言います。
再放送ではこの場面が辰巳さんの忠治で放送されましたが、ゆったりとした大仰なセリフ回し、これ
が「型芝居」かと思わせるものでしたが、果たして今の世の中だったらどうなんだろうかと、少し考え
させられる面もありました。(亜矢姫のリアルなセリフを聴き慣れているせいかも知れません)
従来、歌舞伎でタテと呼ばれていた立ち回りに「殺陣」という字をあてたのも新国劇であると説明さ
れていました。

ところで、亜矢姫が唄う「名月赤城山」は、あのセリフ入りだけだと思っていましたが、とんだ間違い
であの6枚組CDボックスの“股旅演歌選”にはセリフ無しが入っています。アレンジも軽快な感じ
で趣が違うのですがこれも好いですね~。好きです。こんなのが有ることすら知りませんでしたが、
徒や疎かに聴いていては駄目という見本で反省です。新しい6枚組も要チェックですね。  

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    亜矢姫の唄は芸術だと固く信じているおじんです。
    コンサートなどに参加したい気持ちはやまやまなれど、不如意のことが多いので、これは条件が整い次第となっています。

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